近年、製造業においてサプライチェーンマネジメントが注目されています。サプライチェーンマネジメントは、サプライチェーン全体を管理し業務効率化、生産性向上を目指すものです。
サプライチェーンマネジメントの取り組みは大企業だけではありません。中堅・中小の製造業においても浸透してきてます。
それは、生産性を上げるための手段としてIT導入が進んできているからです。例えば、在庫の可視化や供給スピードの効率化の改善に期待が高まっています。当然、コストや組織の中での意識統一など、まだまだ課題も多いです。
今回は、サプライチェーンマネジメントとは何か、注目されている背景、導入のメリット・デメリットを紹介します。

サプライチェーンマネジメントとは

サプライチェーンマネジメントとは企業に高い利益を生むための戦略的な経営管理手法の1つです。サプライチェーンは製品をエンドユーザーに届けるまでの一連の流れになります。
例えば、製品の材料や部品、部材の調達。設計や製造及び在庫の管理、流通、販売に至るまでの工程です。本手法は、工程に関係する過去のデータを参考にします。コンピュータを使用してデータを分析し、必要な生産量や原材料を予測するのです。
この結果を基に供給量や在庫の管理をおこない効率的にヒト、モノ、情報を管理します。この一連の流れで企業の成果を最大化し高収益化を実現させるのです。

注目される背景

サプライチェーンマネジメントが注目されている理由は大きく次の4つです。

経済、企業のグローバル化

1つ目の理由は、モノ・カネ・情報をサプライチェーン全体で最適に管理するためです。インターネットの発展により、調達、開発、生産、物流、販売と簡単に把握できるようになりました。これにより、経済や企業活動は世界規模に広がっています。
企業は、国内のみに留まらず世界と競わなければなりません。そのため経済、企業活動のたった一部だけを改善するだけでは競合他社におくれをとります。
このように、世界に目を向けた企業間の競争に勝つため、関係するものすべてを改善することが求められているのです。そのため、サプライチェーンマネジメントはものづくり全体の流れを総合的に最適化する手段として注目を集めています。

労働環境の変化

2つ目の理由は、物流における無駄を徹底的に削減するためです。なぜなら、日本は慢性的に人手不足だからです。
令和元年度版における厚生労働省の労働経済の分析では、2013年度以降では人手不足感は高まっていることが報告されています。特に、2019年度の3月調査の結果では1990年代初頭のバブル期に次ぐ水準です。
このような中、モノを運ぶ人員も不足しており、企業は少しでも物流を効率化する工夫が求められています。以上のことから、サプライチェーンマネジメントは人員と物流網を最小にして利益を最大にする手法として注目を浴びています。

テクノロジーの進化

3つ目の理由は、莫大に蓄積されたデータから買い手の需要や流行を先見的に予測できる点です。
日進月歩でインターネットやSNS、情報の取り扱い方法は進化しています。ひと昔前までは扱えなかったAIやビックデータの技術が個人のPCでも簡単に分析でき、データを利用したビジネスが発展しているのです。
ITの急激な進化を受けてサプライチェーンマネジメントは、業務プロセスの最適化を達成する新たなツールとして期待されています。

ビジネスモデルの変化

最後の理由は、ビジネスモデルが『販売』と『物流』を同時におこなうモデルへとの変化したためです。
従来のビジネスモデルは店舗で品物を見て顧客が品物を持って帰るものでした。しかし、アマゾンや楽天市場、家電ですら通常販売(EC)が普及してます。また、コロナ禍を機に『出前館』などのフードデリバリーも大きく進化しました。
このように、あらゆるものがインターネットで買えるようになっているのです。ビジネス環境も変わりません。『売ること』と『届ける』ことを大きな流れと捉える思想が重要になります。以上のことからビジネス環境の変化により一連のプロセスを最善最適にするサプライチェーンマネジメントが脚光を浴びています。

サプライチェーンマネジメントの導入メリット

ここまで、サプライチェーンマネジメント導入の背景を説明しました。経済や社会、ビジネスモデル、労働環境及びIT技術の変化など様々な要因によりサプライチェーンマネジメントが注目されてきています。
ところで本手法は、どのようなメリットがあるのでしょうか?サプライチェーンマネジメントの導入メリットを3点説明します。

在庫の可視化

1つ目のメリットは、在庫を適正に把握することできることです。これにより企業の利益を最大化できます。
企業において在庫の管理は重要です。過剰に在庫があれば管理費がかさみ企業のお金の流れを悪くします。一方、在庫が少なければ販売の機会損失を起こします。在庫の適正化が必須です。
つまり本手法のメリットは、需要と供給ニーズに合った在庫数の実現に貢献できます。

供給スピードの向上

2つ目のメリットは、在庫管理と同時に供給スピードの向上です。サプライチェーンマネジメントは在庫を可視化できます。
これにより、在庫量を常に数値として把握し需給バランスが予測できるのです。予測に基づく在庫管理により、必要な時に必要なモノを用意し販売することができるようになります。在庫の数値管理により、受給ニーズに対して即座に対応することが可能になるのです。

人材や費用の最適配分

3つ目のメリットは、人員不足の解決です。生産や物流すべてが人不足であり効率化が求められています。
サプライチェーンマネジメントを用いると、何が必要なのかを適宜選択し、製品に対するリソースの集中的な割り振りが可能になります。これにより、モノ、カネを適材適所に配置でき無駄のない経営が期待できるのです。

サプライチェーンマネジメントの導入デメリット

さて、サプライチェーンマネジメントのメリットを紹介しましたが、デメリットはないのでしょうか。次にデメリットを2点、説明します。

導入コストが高い

デメリットの1つ目は、コストが高いことです。そのコストは費用面と人材面です。
費用面はシステムの構築に投資が必須です。サプライチェーンの流れは大きく同じだとしても企業毎にその特徴は異なります。そのため、独自の特徴を踏まえた仕組みを作らなければなりません。
人材面はIT人材の育成と確保です。中小企業における課題の1つでもあります。IT人材を外部会社から雇うとしてとも社内で0から育成するにしても相応の時間と費用が掛かります。また、システム構築後にもそれを保守、運用する人材も継続して必要です。
このように、サプライチェーンマネジメントは、導入コストと保守コストが発生します。これらのコストを踏まえてどのように運営するかが課題であり、導入前後におけるデメリットの1つです。

組織全体の意識統一が必要

デメリットの2つ目は、組織の意思統一の難しさです。サプライチェーンマネジメントは、関係者すべての意思を統一することが求められます。その理由は、組織間を横断した情報共有が必要不可欠になるからです。
誰もが好き勝手に行動してはいけません。そうすれば、その場しのぎの対応になり結果として業務プロセスの悪化すらありえます。会社によっては、縦割り社会が根付いている場合もあるでしょう。その場合は、会社の組織を変革し意思統一する必要があります。
このように、サプライチェーンマネジメントは、意識の改革が必要です。組織の文化により困難であることは明確ですが、関わる規模や改善する規模が世界規模であるため意思統一なくしては業務プロセスの改善をすることは難しくなります。

まとめ

サプライチェーンマネジメントは、ものづくりの一連の流れを最適化し企業の利益を最大にする手法です。
本手法は、製品づくりの始まりから終わりまでの工程を評価できます。具体的なメリットは、在庫の可視化や、供給スピードの向上及び人材や費用の最適配分です。一方デメリットは導入コストや組織全体の意識統一になります。
重要なのは、目的を明確にし共通の目的に向かって皆が向かっていくことです。本手法の良し悪しを判断し適用することで業務プロセス全体の最適化が期待できます。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

2018年度版 中小企業白書
https://www.chusho.meti.go.jp/

厚生労働省ホームページより
https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/

NECホームページより
https://wisdom.nec.com/ja/business/2018032601/index.html

株式会社エスプール株式会社より
https://komon-haken.spool.co.jp/bizsiru/media/1238.html

大塚商会ホームページより
https://www.otsuka-shokai.co.jp/