提案類型A未活用領域における導入実証・FS事業 (補助金上限額:導入実証3,000万円、FS 500万円)
三品産業(食品・化粧品・医薬品産業)又はサービス産業におけるロボット活用であって、これまで当該分 野における活用が進んでこなかった阻害要因を明確に特定し、これを解決するためのロボット導入実証やFS (Feasibility Study:実現可能性調査)を行う計画を対象
補助事業者(企業名)(株)北斗園
補助事業者(所在地)広島県安芸郡熊 野町
SIer(企業名)(株)ソリトンコーポレーション
SIer(所在地)京都府京都市
タイトル熊野筆の技術を生かしたネイル筆製造工程のロボット化
企業規模中小企業
業種製造業(その他)
用途ハンドリング 検査 搬送
導入の主な目的労働生産性の向上
概要熊野筆の生産における、計量から接着、バリ取りに至るまでの各工程を一体的にロボット化した。
穂先の形状作りなど熟練作業者が行う繊細かつ複雑な作業の自動化を実現。
概要②熊野筆は毛先がカットされておらず、型に毛先を入 れて筆先を形作る必要がある等、工程が複雑で、機 械化されておらず、殆どが手作りとなっている。
一方で熊野筆の業界は、職人の高齢化、安価な中 国製品の台頭、毛筆需要の低迷等により、工程の 自動化やコストダウンが必須の状況である。
今回、製法が比較的簡単で、需要増加中の「ネイ ル筆」の製造工程から自動化に取り組むこととし、 全工程を一体的にロボット化するために、各工程に あわせて6台のロボットを導入した。
結果、生産能力が最大で6.7倍に高まった上に、手 作業のラインでは6人必要だった従事者数も、ロボッ トの操作・調整のために1人(2人交代制)ついていれ ばよい状態になり、生産性が飛躍的に高まった。
システムインテグレータと協力して、各工程の課題 を一つ一つ解決し、全工程を一体化したロボットシス テムとして導入したことが成功ポイントであった。
導入前計量から接着、バリ取り等の各工程を、全て 手作業で行っていた。
導入後システム全体
コマ入れ
根本切断
仮付け
接着
ターンテーブル搭載
バリ取(完了)
導入ロボット(種類) 直交型ロボット
導入ロボット(メーカー)ソリトンコーポレーション製
導入ロボット(型番)NF1-134、NF3-23H、NF4-34、 NF6-1C、NF7-23H、NF8-3B Robot
労働生産性
単位:倍
30
人数
(導入前)
6
(導入後)
単位:人
2
労働時間
(導入前)
6
(導入後)
単位:時間
4
生産量
(導入前)
3000
(導入後)
単位:個
20,000
その他効果短納期、生産能力増強
投資回収年
単位:年
1.6
事業規模
単位:百万円
45.1
効果(年あたり)ロボットでの生産量を月5千本(最大 能力は2万本)として、800円/本×5千 本×12月=48百万円の売上増
利益増:28.8百万円(6割)増。 投資回収:45.1/28.8=1.57年
ロボット導入のきっかけ熊野筆は、広島県安芸郡熊野町で生産されている筆で、経済産業大臣指定伝統的工芸品です。 毛筆と化粧筆では、国内シェア8割とされています。
熊野筆の特徴の1つは、毛先がカットされていないことで、コマ(型)に毛先を入れて筆先の形状を形作 る必要がある等、工程が複雑なためロボット化が難しく、現在でもその製造工程の殆どが手作りです。
一方で、職人の高齢化、安価な中国製品の台頭、毛筆需要の低迷等への対応のために、熊野筆の製 造工程の自動化は避けては通れない、喫緊の課題となっています。
そのため、本事業を活用して、まずは製法が比較的シンプルで、かつ需要が急増しているネイル用熊野筆 の製造工程の自動化に取り組むこととしました。
筆製造設備に知見のある(株)ソリトンコー ポレーションにロボットのシステムインテグレータと して協力してもらうことで、熊野筆の技術を生か した筆製造工程のロボット化という、業界としても 新規性の高い内容に取り組むことができました。
ロボット導入を終えて熊野筆の製造における下記の各工程をロボット化に適したものに見直した上で、各工程を主に直交ロボッ トを使ってロボット化しました。工程間はターンテーブルで接続しています。
【1】計量工程:毛束が開かないように圧縮した上で、断面積で測り取り、ロボットハンドで抜きます。
【2】コマ入れ工程:コマ入り口を鏡面磨きのテーパー状とし、除電して、ハンドで差し込みます。
【3】型出し工程:バイブレーターでコマに毛束を完全に充填します。
【4】仮付け工程:毛束後端近くをハンドでチャックし、ヒーターを前後にゆすりながら下げて熱溶着します。
【5】ターンテーブル移載工程:ロボットアームで移載し、後半用テーブルのチャックに適正長でチャックします。
【6】丈合わせ工程:光センサーで長さを測定しながら、ロボットでチャック位置を調整します。
【7】根本切断工程:円盤型カッターで自動切断します。
【8】接着工程:毛束の広がりを防ぐためにヒーターを前後にゆすりながら下げて熱溶着します。
【9】バリ取り工程:熱溶着で生じたバリを強度調整の上でカップブラシで除去します。
ロボット導入の結果、人手作業の時と比べて、従事者は1人で済むようになった一方、生産量は最大6.7 倍(3,000本→20,000本/月)になり、生産性と生産能力は飛躍的に高まりました。
この成果を活用し、熊野筆の産地である熊野町全体の活性化にも貢献していきたいと考えています。
ロボットユーザーからひとことロボット導入前は、せっかく 見本を頂いても納期が最優 先して見本の作成が後回しに なっていました。その為折角頂 いたありがたい見本も他社に 取られ悔しい思いを何度も味 わいました。新聞折込・ハローワーク・知り合いにあたり、 色々試みても人手不足は解消しませんでした。 又、新しい人が入ってきても、社内にもうスペー スが残っていなく、皆ぎゅうぎゅう詰めで働いてい ました。しかしながらロボット導入のお陰で、決め られた納期以前に納品する事が出来るようにな り、見本作りに一人を集中的に充てる事が出 来るようになりました。後は国内のみならず全世 界に向けて情報を発信する事のみです。

ロボットシステムインテグレータからひとこと
熊野筆という伝統産業の維 持発展の為に、北斗園様から ご縁をいただいた事に大変感 謝しております。
今回のロボットはこれまでの手 加工による技法を再現する点において、非常に困難な点が数多くございました。伝統の技術を機械へと継 承するという試みは、当社自身も筆の製造メー カーであったからこそ為し遂げる事が出来たと自 負しております。
このロボットにより、これまで受注が困難であった 大量生産希望のお客様のお声に少しでもお答 え出来れば幸いに思います。
まだまだロボット化が可能な工程もたくさんあると 思いますので、今後新たに熊野筆産業の発展 に協力が出来る事を楽しみにしています。

ロボット活用ナビより  http://robo-navi.com/webroot/doc_download.html