継続的改善とは

継続的改善とは、PDCAサイクルを回して絶えず計画と実行、分析、改善をし品質向上を図ることです。品質についての国際規格であるISO9001では、継続的改善が重要な概念の一つとして挙げられています。

社会の変容とともに顧客の要求事項は変わります。そのため現時点で最高品質の製品やサービスを提供していることよりも、継続的に改善するマネジメントシステムが備わっているかが重視されています。

この継続的改善を遂行するにはまず方針や目標がなければなりません。会社組織は目標に従って、それを具体的に実現するためのプロセスを考えます。次に、プロセスを遵守・監視していくなかで見つかる改善点を方針や目標に反映させます。

そうしてPDCAサイクルを回し、長期的にカイゼンを続けることが継続的改善の本質であり、会社組織の存続の原動力です。

目標設定に行き詰る企業も少なくありませんが、目標となる品質基準を定めるうえで有効な切り口があります。それが今回ご紹介するCMMIと呼ばれるモデルです。

「CMMIについてまだ理解できていない」という方は、ぜひこの記事を読んで、CMMIについて理解を深めてみてください。

CMMIとは

CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)とは、組織の品質管理能力を段階的にレベル付けしたモデルです。

CMMIの前身であるCMMはもともと、アメリカ合衆国空軍がカーネギーメロン大学に依頼して、軍事部門がソフトウェアの開発業者を客観的に評価するために作られました。

そのためソフトウェア開発の分野で活用されていましたが、のちにCMMIへと発展し、さまざまなプロセスの成熟度の一般的なモデルとして広く適用されています。

企業はCMMIを一つの基準として自社のマネジメントレベルを計ることができます。近年、ISOのコンサルティングにおいてこのCMMIを、企業の継続的改善をするための目標設定に役立てています。

CMMIでは5段階の成熟度モデルを示しており、組織がプロセス改善を図るうえでの段階的な経路を提供しています。またCMMIでは序文に「組織がそのプロセスを改善することに役立つベストプラクティスを集めたもの」と記載されているとおり、組織のプロセス改善を効率的に進める実践法もまとめられています。

5段階の成熟度モデルを簡単にまとめると以下のとおりです。

レベル1:初期 成熟したプロセスを導入する際の出発点となるレベル
レベル2:反復できる 以前の成功体験を反復して実行できるレベル
レベル3:定義された プロセスが標準的なビジネスプロセスとして文書化、標準化されており、関係者の承認を受けているレベル
レベル4:管理された プロセス管理が実施され、さまざまなタスク領域を定量的に制御しているレベル
レベル5:最適化された 継続的に自らのプロセスを改善し最適化しているレベル

各成熟度レベルの説明

成熟度モデルは、組織にどの程度のルールがあるかを段階的に示すものです。最初はルール付けがなされていないレベルから始まります。

レベルが進むにつれ組織で標準的なルールを定義し、定性的・定量的にデータを収集・分析して品質を一定に保ち、最終的に企業全体を取り巻く継続的な改善へと導きます。

レベル1:初期

このレベルでの組織のやり方・手順は、その場その場の思いつきで行われます。成功は個人の能力に依存しているので再現性がありません。過去に実績のあるやり方を踏襲していないので、機能する製品やサービスを提供できたとしても、予算やスケジュール通りにはいかないことが多くあります。

レベル2:反復できる

基本的なタスク管理の方向性とルールが確立されているレベルです。ISO取得レベルではこのレベルが最低限の目標であり、なかにはルールさえあればいいという企業も少なくありません。

手順やタスクのやり方は手順書で明らかにされており、従業員ごとに違ったやり方で業務を遂行することはありませんし、完成形を共有することもできます。「反復できる」とあるとおり、類似したタスクに関しては、以前の成功体験を反復できる規律があります。

レベル3:定義された

このレベルでは、組織においてやり方や手順の標準化が確立されており、従業員全員が標準化は何のためにあるのか、自分の仕事はどういう意味があるのかを理解している段階です。

レベル3で一番重視しているのはこの標準化です。手順を標準化することにより、プロジェクト間でノウハウを共有することが可能となり、組織内に知見を蓄積することもできます。従業員が行うプロセスはどのプロジェクトでも整合性があるので、管理者はトラブルを予測でき、先を見越したリスク対策をとれます。

レベル4:管理された

このレベルで特徴的なのは数値目標があることです。成果物の品質や実績に対して数値的目標が確立され、統計的に分析され管理されています。

会社として数値目標を定めておくことで、目標と進捗状況とを比較することができます。また、決められた目標があることで、全員がその目標に向かって取り組みことが可能です。目標に対してチェックする内部監査の体制が整っているのも特徴です。

プロジェクトについての進捗状況やトラブル発生の可能性を予測するには、やり方や手順が安定することが必要不可欠です。そのためレベル4では、数値目標と手順の安定化に着目しています。

レベル5:最適化された

レベル5では目標を達成するだけではなく、組織全体が継続的なプロセス改善に取り組んでいます。

レベル2~4を通して企業はルールを確立させて、手順を安定化させ、プロジェクトの予測ができるようになっています。あとは、プロジェクトそのものに潜む根本原因をいかに除去できるかであり、レベル5のテーマはこれです。

社会は目まぐるしく変化し、組織もそれに対応していかなければなりません。あるレベルで満足しては時代に取り残されてしまいます。成熟度モデルではレベル5で一応の完成となりますが、組織が継続的改善をすることでさらなる進化を目指す必要があります。

まとめ

今回はCMMIについてご紹介しました。

社会状況の変化に対応するためにも、企業にとって継続的に組織を改善していくことは非常に重要です。改善を継続したものにするには、組織がどのぐらいのレベルにあるのか目安があるといいでしょう。

CMMIは成熟度モデルと称して、組織にどの程度のルールや手順が存在しているかレベル付けしています。段階的にルールが確立され、組織内に改善を継続する自浄作用を持つことを目標としてます。

ぜひCMMIを活用して自社の継続的改善に役立ててください。

(画像は写真ACより)