このページを読むと分かること
①中小製造業での産業用ロボットの導入方法が一連の流れで分かる
②産業用ロボットのコストに対する考え方が分かる
③産業用ロボットを倉庫の隅で眠らせない方法が分かる

月

さて、本題に入る前に、このページをご覧いただきありがとうございます。
このページをご覧いただいている方は、下記のようなことでお困りではないでしょうか?
□産業用ロボットを導入したいけど、何から手を付けていいかわからない
□産業用ロボットを導入したいけど、どこに相談して良いかわからない
□産業用ロボットを導入したいけど、ロボットについて詳しい人がいない
□産業用ロボットを導入しようとして近隣の機械設備会社やロボットSIerに相談したけど、できないと言われた(連絡がつかなくなった)
□産業用ロボットの導入を考えていたけどどう考えてもコストメリットが合わない etc…

これらのお悩みは我々が普段活動している中で、実際に中小製造業の方からいただいているお話です。
中には、どうにかして人手不足対策をしたいからと折角重い腰を上げて設備会社に声をかけたのに、その後連絡がつかなくなって結局後回しになってしまっている。。。という方もいらっしゃったりで、こちらとしても残念な気持ちになることが多いです。

そこで、上記のようなお悩みを持つ方々のために、「どうやったら産業用ロボットの導入は進めていけるのか?」という点で我々が普段お客様に話していることを余すことなくご紹介していきたいと思っています。
話は下記の通り進んでいきますので、ご自身に必要なところから読んでいっていただければと思います。

①中小製造業でのロボット導入方法(前準備編)
②中小製造業でのロボット導入方法(システム検討編)
③中小製造業でのロボット導入方法(システム導入編)
④中小製造業でのロボット導入方法(システム導入後編)

①中小製造業でのロボット導入方法(前準備編)

さて、それでは早速産業用ロボットの導入個所を検討、、、とその前に、まず絶対にやらないといけないことがあります。
いきなり辛いことを言うかもしれないですが、これからお話する内容をやっておかないと、中小製造業の産業用ロボット導入は9割失敗するといっても過言ではないでしょう。

さて、そこまで強く必要と打ち出していることが何かと言うと、産業用ロボット導入の目的を自社が目指す姿と合わせて検討することです。
言葉にされているかどうかは置いておいて、どこの中小製造業であっても社長が思い描く「こうなりたい」という姿はあると思います。
この社長が思い描く「こうなりたい」は実は産業用ロボットの導入にも密接に関わっており、社長の「こうなりたい」と産業用ロボット導入の目的が一致しないと、必ずと言っていいほど産業用ロボットの導入は失敗します。

産業用ロボットを入れたのは良いけど、思うように効果が発揮できなかったり、工場の片隅で眠ってしまっていたりするのはこの社長の想いとの不一致が原因です。
私たちはこれを想いと現場が一致することと書いて、「想現一致」と呼んでいます。
この想現一致が成されていない状況で産業用ロボットを導入すると、使えない設備の導入をしてしまうわけです。

ということで、中小製造業で産業用ロボットの導入を進めるために、まず社長が今後会社をどうしていきたいのか?を明確にし、その想いに沿った産業用ロボットの導入計画を立てることから始まります。

ちなみに、これまで私たちがお聞きした社長の想いの例には、「従業員の教育に力を入れるため作業にかかる時間を減らしたい」「社員の負荷を減らして離職率低減を目指したい」「より付加価値が高い工程に人を入れたい」等があります。

これらの社長の想いと、下記の産業用ロボット導入のメリットを掛け合わせることで、想現一致により近づくことが出来ます。

メリット
高付加価値化人手作業では点検査が限界であったところ、面検査が可能であり、検査の信頼性が向上
投入時以外に人手で触れないため、衛生管理が向上
需要変動対応モジュール化・規格化されており、生産量の変動に合わせた柔軟なシステム拡充が可能
(初期投資抑制、在庫削減、商機を逃さない機動性)
作業環境改善海上のパイプやタンクなど、高い場所に足場を作らず作業が出来、安全性が向上
省人化経験の豊富な技術者を単純作業に従事させる必要がなくなった
省人化により、新製品の開発等の他の業務に注力可能
省力化・省スキル化多くのバリを取った状態で手作業にまわせた
熟練者でなくとも描画が可能になり、作業の負荷を軽減
省スペース化省スペース化、面積生産性の向上
レイアウトの自由度向上
生産性向上24時間365日休みなしで稼働
サイクルタイムを約35%低減
品質安定・向上作業の均一性が増したことで分析データの均質化と安定性を達成
塗装のムラや戻り錆が発生せず、工期の短縮が可能
省資源・省エネ従来設備に対して消費電力を約60%低減

※経済産業省 中部経済産業局 名古屋工業大学 産学官連携センター「産業用ロボット導入ガイドライン(P.2)」より

社長の想いを言葉にするための補助ツール”経営戦略デザインシート”

ちなみに、社長の想いを考えるときはノートにとにかく書き出すのも良いですし、弊社でもこういった無料ツールをご用意しております。
元々首相官邸の経営デザインシートを一部参考にしているもので、こちらで使いやすいフォーマットで修正して使用しています。

経営戦略デザインシートのお問合せはこちらから
※ご提供は終了しました。

ぜひ活用してみてください。

②中小製造業でのロボット導入方法(システム検討編)

さて、社長の想いに沿った産業用ロボットの導入目的が決まったら、システム検討に入ります。
この段階で大事なのは、産業用ロボットの導入場所を決める前に工程・作業を入り口から出口まで全て洗い出すことです。
いきなり、産業用ロボットの導入場所を決め打ちしてはいけません。

基本的なことではありますが、それぞれの工程でどのような作業をしているのか?どのような設備があるのか?何人かけて行っているのか?どれくらいのタクトタイムで作業しているのか?を一つずつ洗い出していくことで、最も効果的な産業用ロボットの導入場所が分かるようになります。
また、この作業を丁寧にやっていると、そもそ産業用ロボットを使わない自動機での対応が可能であることに気づいたり、ちょっとしたレイアウト変更で生産性が上がる可能性が出てきたり、そもそも本当に産業用ロボットを使うべきなのかが見えてきます。

「中小製造業における産業用ロボット導入の秘訣を大公開!」というタイトルにしておきながら、産業用ロボットを使わない可能性もあるというのもおかしな話ですが、実際に産業用ロボットを使わなくても(というより使わないほうが)良い場合も往々にしてあるのです。
ただし、逆に言えばここまで来て本当に産業用ロボット導入をすべきであると判断できるのであれば、その産業用ロボットは確実に自社の力になってくれるロボットとも言えます。

それぞれの工程及び作業を洗い出し、産業用ロボット導入が出来そうな場所も検討出来たら、この段階では最後に優先順位を決めます。
コストが安く済むところではなく、社長の想いにより一層近づける導入場所に優先的に産業用ロボット導入をしていくことで、産業用ロボットをフル活用することが出来るようになります。

③中小製造業でのロボット導入方法(システム導入編)

さて、導入したい場所も決まったら、ここからやっと外部のパートナー企業(ロボットSIer)に連絡します。
この時、産業用ロボット導入後のメンテナンス対応も考えると近いに越したことはないのですが、下記の視点でパートナーを決めていくと産業用ロボットの導入はスムーズになります。

産業用ロボット導入時のパートナー企業の選定基準
①過去に自社と同業界の似たような作業をする産業用ロボットを導入したことがある / 昔から自社と同業界の設備対応をしており作業に詳しい
②仕様やスケジュールを大事にしており、こまめに提出してくれる
③動きが早い

全てを持っていることが理想的で、あてはまる項目が少ない企業は一緒に進めていくと対応がしんどくなってくる時があるかもしれません。
特に、一度も産業用ロボット導入をしたことがない方は様々なことをパートナー企業に確認しながら進めていくことになります。
「昔から付き合いのある企業にお願いしたい」という方もいらっしゃいますが、初めて産業用ロボット導入を進めていくのであれば、自社の作業内容までイメージが出来る方をパートナーにしてください。

「とはいってもそもそも①に当てはまる企業ってどうやって探すの?」というご質問があるかもしれませんが、経産省と一般社団法人日本ロボット工業会が過去に行っていたロボット導入実証事業を見てみるとパートナー先が見つかるかもしれません。
http://robo-navi.com/webroot/doc_download.html

ちなみに、この時点で価格のことも検討し始めると思いますが、大体産業用ロボット×5倍くらいの価格を予算として想定しておくと話が進めやすくなると思います
多関節ロボット自体は300万~500万円程度のものが増えてきていますが、周辺設備をあまり使用しない小さめのパレタイズロボットでも300万円×5倍=1,500万円くらいが必要な予算感として捉えておくと良いと思います。もちろん、ここにカメラを入れたいといった要望や、動きが難しい作業をさせたいといった要望が乗れば乗るほど高くなると思ってもらえればと思います。
価格の内訳は、下記の内容がメインになってくると思います。

設計費材料費・加工費組立費
制御盤関連費立会・調整費その他諸経費

余談ですが、たまに設計だけ無料でさせて、他の企業に発注するということを考える方もいるみたいですが、そういう対応は双方得をしないので辞めておきましょう。
ロボットSIerと一言で紹介していますが、同じ作業を見ても提案内容は十人十色で仕様の細かいところまでイメージできるのは構想をイチから考えた人だけです。
過去に聞いた話では、あるロボットSIerにロボット導入の設計を無料でさせたにもかかわらず、制作は他の業者という対応をした方が、結局設備不具合が起きて元のロボットSIerに問合せたが、元のロボットSIerは対応拒否をした、ということがありました。
設計にも人工はかかってますので、それを考慮した上で発注を行いましょう。

④中小製造業でのロボット導入方法(システム導入後編)

さて、最後の段階になりました。産業用ロボットの導入後の話です。
産業用ロボットがこれまでの生産設備と違うのは再プログラムが組みやすいところにあります。
これは、産業用ロボットの定義を見るとわかります。

産業用ロボットとは、自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレータであり、3 軸以上でプログラム可能で、1 か所に固定して又は移動機能をもって、産業自動化の用途に用いられるロボット。

JIS規格票より

つまり、産業用ロボットは導入した後も再プログラムして多目的に使うことを前提として作られています。
これまでの生産設備のように一か所に置き続けたり、同じ作業のみを実行し続けるのでなく、新しい案件を受注したらその案件にあったプログラムを作ったり、更に品質を高めるための再プログラムをさせたりといった調整ができるからこその産業用ロボットです。

我々がいつも産業用ロボットの導入をサポートするとき、必ず産業用ロボット導入後のティーチング専任者を一人以上選んでいただきます
この方は、何かの作業と兼任ではなく、必ずティーチングのみに特化させておく必要があります。
人は新しいツールを使うとき、それまで取っていた方法と比較して「元の方がやりやすい」と思う傾向があります。
PCが普及し始めたときは手書きの方が早いと思ったり、スマホに切り替わった時はガラケーのボタンの方が打ちやすいと思ったり(人による?)、一度面倒だと思うと元のやり方に戻そうとしてしまいます。
産業用ロボットも扱っているうちに必ず早く使えるようになってきますので、手作業で作業をするという従来の方法に戻らないよう、産業用ロボットのティーチングのみに特化させる必要があるのです。

以上、ここまで中小製造業で産業用ロボット導入に成功している企業の取り組み方を体系化してご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
この内容が少しでも皆様のお役に立ち、製造業に活力を与えるための一助となると幸いです。