ISO規格とは

ISOとは、1947年にスイスのジュネーブに設立されたInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。

略称とイニシャルが合致していないのは、各国の母国語で綴りが異なるためです。国際標準化機構の略称を各国の言葉で表記すると、英語では「IOS」、フランス語では「OIN」、ロシア語では「MOS」となります。

略称のISOの由来は、ギリシャ語で均等を意味する「ISOS」から名づけられたといわれています。

現在、ISOには162ヵ国の機関が加盟しており、国際規格の制定や改訂を参加国の投票によって決定しています。

ISO規格は、「地球上のどこでも同じ品質、同じレベルの製品やサービスを提供する」ためにある国際的な基準です。

ISO規格の認証を取得することは、国際的な規格を遵守している証明になるため、外国との取り引きをスムーズに進めるうえで有利に働きます。

ISO9001とは

ISO規格は、ナンバリングによって規定の対象を表しています。「ISO9001」は、顧客が満足する製品やサービスを提供するための品質マネジメントシステムに関する国際規格です。

企業のホームページでよく見かける「ISO9001認証」の表示は、「当社の品質管理は、国際基準であるISO9001規格に準拠している」ということを示しています。

ISOという略称とロゴは登録商標であるため、勝手に使用することはできません。ISO9001規格の認証を受けるためには、品質マネジメントシステムの要求事項を満たして審査に合格する必要があります。

ISO9001の取得メリット

ISO9001を取得すると、企業が国際基準の品質マネジメントシステムを構築している証明になります。

本項では、ISO9001の取得によってもたらされる4つのメリットを以下にご紹介します。

製造・生産性向上につながる

品質マネジメントシステムとは、顧客を満足させる製品やサービスの品質を維持するためのルールや仕組みのことです。

品質管理のルールや仕組みを国際基準に基づいて構築するためには、品質マネジメントシステムを運用・維持するための工程や手順が厳密に定めなければなりません。

ISO9001は第三者の認証機関によって審査が行われるため、品質管理上の問題点があれば厳しい指摘を受けます。単なる書面上の審査だけではなく、立ち入り検査を行って品質管理のルールや仕組みが適切に運用されていると確認されなければ認証を受けることができません。

また、ISO9001の要求事項には、品質マネジメントシステムの「改善」も含まれています。品質マネジメントシステムを継続的に改善していくことで製造現場の「ムダ」や「ムラ」が減り、品質だけではなく生産性の向上にもつながるでしょう。

組織のマネジメントシステムが確立できる

ISO9001の審査の対象は組織ですが、リーダーシップ(トップマネジメント)も重要視されています。

ISO9001の審査を受けるためには、組織のリーダーが率先して品質管理方針を策定し、各担当者の役割や権限を明確にすることが必要です。

組織の役割と権限が明確になることで、責任のたらい回しを防ぎ、品質管理の業務がスムーズに行えるようになります。

例えば、品質管理方針に基づいたマニュアルを作成することで、各担当者が何をすべきかが明確になり、製造現場の意思統一が図れます。

社会的な信頼性が高まる

ISO9001を取得することで社会的な信頼性を高められます。

品質マネジメントシステムを適切に運用するためには、常にPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルを回して問題点や改善点の洗い出しを行うことが大切です。

PDCAサイクルは品質管理だけでなく、一般業務についても同様の手法で業務の改善を図ることができます。ある企業がISO9001を取得していれば、「業務全般をPDCAサイクルで点検する企業」という信頼が生まれます。

業務のPDCAサイクルが確立されていれば、取引相手には「継続的な業務の改善が続いている企業」という印象を与えることができます。課題や問題を放置する企業より、解決に取り組む企業の方が国際的な信頼性が高いといえるでしょう。

顧客満足度の向上が見込める

ISO9001規格で最も大切な要求事項が「顧客重視」です。現在の顧客のニーズに応えるだけでなく、顧客の期待を常に超えるように企業努力を積み重ねることが要求されます。

品質マネジメントシステムを構築し、常に改善の努力を継続する姿勢が製品やサービスの品質向上をもたらし、顧客満足度を高める結果につながります。

まとめ

ISO9001は、品質マネジメントシステムに関する国際的な規格です。

ISO9001の認証取得は、単に品質管理体制が確立されているだけでなく企業自体の信頼性向上につながります。

またISO9001は一度認証を受ければよいものではなく、定期的に審査を受けて、品質マネジメントシステムが適切に運用・改善されていることを認証機関に認められなければ取り消される可能性があります。

製造業にとって品質は生命線となるため、ISO9001の認証取得を目標とした品質マネジメントシステムを構築し、国際競争力の向上につなげましょう。

(画像は写真ACより)

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