生産オペレーションを理解することで、生産性向上のヒントを得る

この記事では、生産オペレーションの一部を解説します。扱うテーマは、品質管理・設備管理・廃棄物等の管理・生産情報システムです。

品質管理

品質管理の定義

私たちが通常、品質という言葉を使うときには、どのような意味で使っているでしょうか。

1つは、不良や不具合が少ない、という意味で使われていると思います。この意味では、よく故障する車よりも、ほとんど故障のない車の方が、品質が高いということになります。

もう1つは、顧客の要求をより満たしている、という意味でも使われていると思います。例えば、最高品質の商品と言った場合は、不具合が少ないのではなく、顧客の要求をより満たしており、顧客満足の高さを表していることがあります。

従来は、品質管理では、不良や不具合を少なくすることが管理の中心でしたが、時代と共に、より顧客の要求を満たすことが重要視されるようになってきました。

JISによる品質管理の定義では、「買い手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系」、とされています。つまり、品質管理は、顧客満足を満たすために、質が高い製品をできるだけ安いコストで提供するための管理を表します。

また、品質管理は、Quality Controlを略してQCと呼ばれることもあります。

品質管理の種類

品質には、2つの種類があります。それは、設計品質と製造品質です。

設計品質は、製品の設計時にねらいとした品質です。そのため、設計品質は「ねらいの品質」と呼ばれることもあります。設計品質は、顧客の要求を満たすための品質を、目標として設定したものです。

製造品質は、製品の製造時に結果として生じた品質です。そのため、製造品質は「結果の品質」と呼ばれます。

製品を製造すると、どうしても設計時の目標から外れて品質にバラツキが生じてきます。よって、設計品質と製造品質は異なります。製造品質の向上のためには、製造プロセス自体の品質を向上させたり、品質検査を行って基準に適合しないものは排除するなどの対応が必要になります。そのため、製造品質は「適合の品質」と呼ばれることもあります。

品質管理の変遷

日本では、製造業の発展と共に、品質管理のテーマが変化してきました。最初は1950年代から、生産現場で不良を減らすことをテーマとした統計的品質管理(SQC:Statistical Quality Control)が発展してきました。

その後60年代には、範囲を拡張したTQC(Total Quality Control:全社的品質管理)に発展していきました。元々米国で考えられたTQCの考え方は、品質管理を効果的に実施するためには、生産現場だけではなく、製品の企画や設計、購買、アフターサービス、人事・教育など、製品を提供する全ての段階で全社的に行う必要があるというものでした。

日本ではTQCは独自に発展していき、QCサークルという小集団による品質改善が盛んに行われました。ここでは、現場からのボトムアップの品質改善活動が中心でした。

しかし、ボトムアップでは改善できるものの、顧客ニーズの変化が激しい現代では、顧客が要求する品質に合わせて改革をしていくのは難しいという問題があります。そのため、80年代には、米国では、新しい概念としてTQM(Total Quality Management:総合的品質管理)が提唱されました。

TQMは、顧客満足の向上を重視し、それを実現するために、戦略的に企業活動全体の品質を向上させる手法です。そのため、経営者をはじめ、管理者・監督者・作業者など全員参加のもと、製品を現場で改善するだけでなく、企業全体の経営の品質を向上させるマネジメントの仕組みが重要になります。具体的には、目的に関する原則、手段に関する原則、組織の運営に関する原則、の3つの原則を基本として、全員が役割に沿った活動を進めていきます。

目的に関する原則は、顧客視点に立つことを重視した考え方です。例えば、品質第一、後工程はお客様、マーケイン、といったものがあります。

手段に関する原則は、実際に活動を進める上での具体的な手法や注意点、管理方法に関する考え方です。例えば、プロセス重視、事実に基づく管理、再発防止、といったものがあります。

組織の運営に関する原則は、各人の役割や心構え、人材の開発・育成に関する考え方です。例えば、リーダーシップ、人間性尊重、教育・訓練の重視、といったものがあります。

現代では、こういった品質マネジメントの取組みは、ISO9000シリーズにより規格化がされています。ISO(国際標準化機構)は、国際規格を定めている組織です。ISO9000シリーズは、品質管理に関する国際規格となっています。企業はISO9000シリーズを取得することで、品質向上を図り、取引先からの信用を高めることができます。

現在では、ISO9000シリーズでは、製造業だけではなくサービス業などの幅広い分野で適用できる品質マネジメントの仕組みを定めています。

品質保証と検査

品質保証は、製品の品質が要求される水準にあることを保証するための体系的な活動です。つまり、顧客の満足する品質の水準を定義し、それを実現するためにルールや体制を作って管理していくことです。

品質保証の活動

品質保証では、3つの活動が重要です。それは、検査、製造、設計です。

検査は、不良品を社外に出さないことで、品質保証を実現することです。しかし、検査を正確に行うのは難しく、不良品を見つけたとしても無駄になってしまいます。

そのため、製造工程の品質を高めて、できるだけ不良品を作らないようにするのが重要です。さらに近年では、設計時からより安全で品質の高い製品を作り込むことが重視されるようになっています。

検査

検査は、製品などの対象をなんらかの方法で測定・試験等を行い、基準値と比較することで、適合しているかを判定する活動です。

検査の目的は、不良品を顧客や次の工程に引き渡さないこと、検査の結果得られた品質情報を関連部門と共有することで不良品の予防や品質の向上に役立てること、社内で品質を向上させる意欲を高めることです。

また、検査は、製造ロットに対して行う方法があります。この場合は、全数検査と抜取検査という種類があります。

全数検査は、ロット内の全ての製品を検査する方法です。全数検査では、不良品を確実に除外することができます。ただし、検査の手間やコストがかかるというデメリットがあります。そのため、高価な製品や、品質が特に重要な製品でよく用いられます。

抜取検査は、ロット内からサンプルを抜き取って検査し、その結果でロット全体の合否を決める方法です。抜取検査では、全数検査よりも手間やコストがかからないメリットがあります。一方、合格となったロットの中にも不良品が含まれる可能性があります。

抜取検査では、サンプリングでロットの合否を決めるため、実際には基準より不良が少ないのにロットが不合格になったり、実際には基準より不良が多いのにロットが合格するリスクがあります。

例えば、製造ロットが1000個で、そのうち100個を抜取検査するとします。不良率が2%以下で合格とした場合、サンプル100個のうち不良品が2個以内であればロットは合格となります。

もし、抜取検査で3個の不良が検出された場合は、不良率が3%と推測されるため、ロットは不合格となります。しかし、実際には、1000個のロットのうち20個以内であれば、本来はロットは合格するはずです。このように、本来は合格するはずのロットが不合格になる確率を、生産者危険と呼びます。生産者危険とは生産者側のリスクという意味です。

また、もし抜取検査で1個しか不良が検出されずロットが合格となっても、実際には1000個のロットのうち不良品が20個を超えていれば、本来はロットは不合格となるはずです。このように、本来は不合格のはずのロットが合格してしまう確率を、消費者危険と呼びます。消費者危険とは消費者側のリスクという意味です。

このようなリスクを減らすには、抜取検査をした結果の不良率が品質水準近辺の場合には、すぐにロットの合否を判定せず、さらにサンプルを増やして検査する段階抜取検査という方法もあります。

QC7つ道具

QC7つ道具は、品質の改善活動をするための手法を7つ集めたものです。QC7つ道具は、高度な知識が無くても使いやすいため、QCサークルなどでもよく使われています。

QC7つ道具に含まれる手法は、管理図、パレート図、ヒストグラム、散布図、特性要因図、チェックシート、層別です。順番に見ていきましょう。

管理図

管理図は、測定した値を折れ線グラフにしたものです。この測定値が異常かどうかを判別するために、上下に管理限界線という線が引かれているのが特徴です。管理図は、製品や工程が基準から外れていないかを継続的に管理するなどの目的で使用することができます。

管理図には、上下に管理限界線があります。上の線を上方管理限界線、下の線を下方管理限界線と呼びます。例えば、製品のサイズや重さを管理図にプロットしていくと、データにはバラツキがあるため、変動する折れ線グラフになります。ここで、管理限界線を越えた場合は、異常と判断することができます。

また、管理限界線を超えない場合でも、データのバラツキに傾向が見られた場合は、異常の可能性があります。例えば、連続して増加もしくは減少していたり、管理限界線に近い点が連続している場合などは、工程などに異常がある可能性があります。

管理図には、さまざまな種類があります。よく使われるのは、X-R管理図です。X-R管理図の「X」は本来は「xバー」といいます。本稿では表記上の都合により、これを「X」と表記しています。X-R管理図では、データの平均値を表すX(エックスバー)のグラフと、データの範囲を表すRのグラフを縦に並べて表示します。例えば、ロットから抜取検査を行い、サンプルの平均値をX管理図に表示します。また、サンプルの最大値から最小値を引いた範囲を求めてR管理図に表示します。こうすることで、平均の傾向と、バラツキの傾向を同時に見ることができます。

パレート図

パレート図は、項目別に不良数などの件数を数えて、多い順に並べたグラフです。以前学習した、ABC分析はパレート図を応用したものです。

パレート図は、取り組むべき重点課題を明確にするのに役立ちます。例えば、不良原因別に不良数を表示するパレート図を作成することで、不良対策の重点項目が分かります。

ヒストグラム

ヒストグラムは、データ範囲ごとのデータの個数、つまり度数を表示したグラフです。ヒストグラムは度数分布図とも呼ばれます。

例えば、製品の重量を検査で測定し、重量の範囲ごとのヒストグラムを作成することで、重量のバラツキがどのようになっているのかが分かります。グラフは通常は、中央が高い山のような形になります。この山の左右のすその部分が広いほど、バラツキが大きいということになります。

散布図

散布図は、2つの特性をX軸とY軸に取り、データを点でプロットしたものです。散布図は2つの特性の間の相関関係を把握するために使うことができます。

例えば、作業員の経験年数をX軸、不良率をY軸に取って散布図を作成すると、どのようになるのでしょうか。

この場合は、経験年数が少ないほど不良率が高く、経験年数が多いほど不良率が少なくなると予想されます。つまり、2つの特性の間には相関関係があり、点の集合が右下がりになると予想されます。

このように点の集合が右下がりになる場合は、負の相関関係があると言います。天の集合が右上がりの場合は、正の相関関係があると言います。また点が全体に散らばっている場合は、無相関であると言います。

また一見、散布図上で相関があるように見えても、実際は第3の要因によって、相関に見えているだけで、直接関係がない場合があります。このような場合は、偽相関と呼びます。

例えば、ビールの売上と、熱中症の患者数を散布図にした場合、正の相関関係があるように見えるかもしれません。しかし、これは気温という第3の要因が上昇すると、ビールが売れて、熱中症の患者が増えるためです。このように、2つの特性の間に直接の関係がない場合は、偽相関になります。

特性要因図

特性要因図は、ある特性と、それをもたらすさまざまな要因の関係を図で表したものです。例えば、品質が悪いという問題に対して、その原因となっている要因を魚の骨のような形で記入していきます。

特性要因図は、QCサークルなど複数のメンバーが集まり、ブレーンストーミングなどをしながら作成するのが向いています。グループで自由に意見を出し合い、問題の原因を特性要因図に記入していきます。問題の原因が整理できれば、効果的な解決法を作成していくことができます。

チェックシート

チェックシートは、データを記録するためのシートです。チェックシートは、点検のときに利用したり、分析に使うデータを記録するのに利用されます。

例えば、チェックシートの不良品の不良要因別の個数データを記録し、後でパレート図などで不良品の分析を行うことができます。

層別

層別は、ここまで紹介した6つの手法とは少し異なり、特定の図などは存在しません。層別は、データの母集団を幾つかの層に分割することです。層別は、他の6つの手法と組み合わせて使用されます。

例えば、不良率をパレート図やヒストグラムで分析する場合に、工場全体で分析するだけでなく、データを工程別や作業員別に層別することで、別の傾向が見えてくることがあります。このように、層別をすることで問題の原因を深く分析していくことができます。

設備管理

設備管理は、広い意味では、生産設備の計画、製作、保全、更新など設備のライフサイクル全般の管理を表します。近年では、作業の自動化、高度化が進んでいるため、生産設備を適切に管理していくことが重要になっています。

保全活動

この中で、設備の保全というのは、設備の性能を維持するための活動です。設備は使用するにつれて性能が低下したり、劣化していきます。設備保全は、このような設備の劣化を防止するための点検や整備、修理などの活動です。

保全活動には、大きく設備を維持する活動と、改善する活動があります。設備を維持する活動には、予防保全と事後保全があります。

予防保全は、故障を未然に防ぐための活動です。予防保全には、設備を定期的に点検したり、古くなった部品を交換するような活動が含まれます。

事後保全は、故障が発見された後の活動です。事後保全には、故障した設備を修理するような活動が含まれます。

設備を改善する活動には、改良保全と、保全予防があります。

改良保全は、設備そのものが故障しにくくなるように改良することです。改良保全は、単に故障を直すだけではなく、故障しやすい設備の構造自体を改良することで、故障を防いだり性能を向上させるための活動です。

保全予防は、改良保全よりもさらに前段階の、設備の計画、設計段階から故障や性能の劣化を防ぐための活動です。保全予防では、過去の保全実績を記録しておき、それを基に新しい設備を計画・設計します。

設備効率

設備の運用時には、できるだけ無駄な時間を少なくして、設備効率を高めることが重要です。設備の効率を表す指標は3つあります。それは、時間稼働率、性能稼働率、良品稼働率です。

時間稼働率は、設備の停止ロスを測定するための指標です。停止ロスは、設備が故障したり、段取り時間などで停止した時間を表します。時間稼働率は、全体の時間である負荷時間のうち、停止ロスを除いた稼働時間の割合を表します。

性能稼働率は、設備の性能ロスを測定するための指標です。性能ロスは、設備がチョコ停と呼ばれる一時的な停止をしたり、空転や速度が低下することで無駄になった時間を表します。性能稼働率は、時間稼働のうち、性能ロスを除いた正味稼働時間の割合を表します。

良品率は、不良ロスを測定するための指標です。不良ロスは、不良品や手直しによる無駄を表します。不良率は、正味稼働時間のうち、不良ロスを除いた、価値稼働時間の割合を表します。この3つの指標を掛け合わせることで、設備の全体の効率である、設備総合効率を求めることができます。設備総合効率の式は、下記の通りです。

設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率

このような設備効率は、保全活動の中で維持活動での設備の監視や、改善活動での改善前後の性能の評価等に活用します。

廃棄物等の管理

近年では、環境に対する意識が高まっており、企業にとって廃棄物の管理などの環境保全に対する取組みは重要になっていきています。

環境保全に関する法規

ここでは、環境保全に関する法律について概要を学習していきます。

環境基本法

環境基本法は、環境保全についての基本的な理念や、事業者の責務などを定めた法律です。

環境基本法では、基本理念として、環境への負荷が少ない社会を構築すること、国際的協力による環境保全を推進することなどを挙げています。また事業者などへの責務として、廃棄物の適正処理、公害防止、環境負荷の低減、再生資源の利用などを挙げています。また、これを推進するために、環境基本計画として長期的な目標が定められています。

循環型社会形成推進基本法

循環型社会形成推進基本法は、環境基本法に基づいた循環型社会の形成を目的に制定された法律です。

循環型社会とは、廃棄物を出来るだけ抑制し、資源の循環的な利用や、廃棄物の適切な処分をすることで、資源の消費を抑制し、環境負荷をできるだけ低減させるような社会です。

この法律では、廃棄物の処理の優先順位を定めています。その優先順位は、1発生抑制、2再利用、3再生利用、4熱回収、5適正処分です。この中で、2~4までを循環資源としています。

また、国や地方公共団体、事業者、国民のそれぞれの責務を定めています。事業者や国民については排出者責任として、排出したものを適正に利用または処分する責務を規定しています。さらに、事業者については、拡大生産者責任として、生産した製品が使用されて廃業された後でも、リサイクルなどの一定の責務を負うということが規定されました。

個別法

また、循環型社会形成推進基本法に基づいて、循環型社会の形成を推進するための個別法律が制定されています。

廃棄物の処理については、廃棄物処理法で規定されています。また、個別の製品については、製品の種類に応じて、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法が制定され、事業者のリサイクルなどの責務が規定されています。

廃棄物の処理・管理

企業では、廃棄物を削減したり再利用したりすることが重要になっています。このような廃棄物削減の取組みでは、リデュース、リユース、リサイクルの3Rがポイントになります。

リデュースは、廃棄物の発生を抑制することです。つまり、ごみを減らす取組みです。

リユースは、資源を再利用することです。

リサイクルは、製品を回収して、別の用途や資源として活用することです。

また企業が廃棄物をゼロにする取組みのことをゼロエミッションと呼びます。ゼロエミッションでは、廃棄物を捨てるのではなく、3Rなどを推進することで、廃棄物をゼロにすることを目指します。

生産情報システム

近年では、顧客ニーズが多様化し、市場環境も急速に変化しています。また国際的な競争が進展していることもあり、製造業では、多種少量生産(多品種少量生産)、短納期化、コスト削減など、難しい課題に対応することが必要です。このような状況に対応するためには、生産情報システムが必須になっています。

生産情報システムは、時代と共に機能や範囲が拡張し、現在ではほとんど全ての業務に対応したシステムが開発されています。

ここでは、生産の基本業務である、設計と製造に対応する生産情報システムを見ていきましょう。

開発・設計の情報システム

製品の開発・設計では、コンピューターを利用した設計や設計情報の管理に情報システムが利用されています。コンピューターを利用した設計では、CAD、CAM、CAEというシステムが使われます。これらは連携して、使用されるシステムです。

CAD

CAD(Computer‐Aided Design)は、製品のコンピューターを利用して行うシステムです。CADでは製品の設計図を図面で作成していきます。作成した設計図はモデルと呼びます。モデルは設計データとして保存され、必要に応じて共有することができます。

現在のCADでは、3次元の複雑な形状の設計を行うことができます。CADで設計した部品などは、ほかの場所で再利用することができます。また、サイズなどをパラメータで与えることで、似たような部品のバリュエーションを簡単に作成できます。このように、CADを利用することで設計作業を効率化することができます。

CAM

CAM(Computer-Aided Manufacturing)は、モデルの情報を、加工機械などに直接inputするシステムです。CAMでは、CADなどで設計したモデルを、生産できるようにNC加工機などにインプットします。これにより、工程設計を支援することができます。CADとCAMを利用すると、製品設計から工程設計の作業を情報システムで一貫して行うことができます。

CAE

CAE(Computer‐Aided Engineering)は、モデルの情報を基に、製品のシミュレーションを行うシステムです。CAEは、製品を実際に作る前に、強度や安定性、性能などを、主に構造面からシミュレーションで評価するためのシステムです。CAEを利用することで、試作品を作る前にある程度の製品の特性をコンピューター上で試験できます。そのため、設計のリードタイムを短縮することができます。

PDM

こういった、製品に関するさまざまな情報を管理するシステムが、PDM(Product Data Management:製品情報管理システム)です。

PDMでは、CADで作成した製品の設計情報や、部品構成を表す部品表、製品の開発プロセス、およびこれらの変更履歴などを管理します。PDMを導入することで、製品情報が一元的に管理され、関連部門での情報共有ができるようになります。これにより、関連部門で同時進行的に設計を行う、コンカレントエンジニアリングを実現することができます。

製造の情報システム

製造工程では、生産設備がコンピューターにより自動化されるようになっています。ここでは、主な製造システムを見ていきます。

NC

NC(Numerical Control)は、数値制御される工作機械です。CADなどで作成したモデルから、プログラムを作成し、そのプログラムを使って工作機械が自動的に製品を加工します。また、コンピューターが組み込まれたNCのことをCNC(Computer Numerical Control)と呼びます。

MC

MC(Machining Center)は、機械に多数の工具がセットされており、工具を自動的に使い分けながら加工する工作機械です。MCは、1台でさまざまな加工が行える特徴があります。

FMC

FMC(Flexible Manufacturing Cell)は、NCやロボットなどの個々の機械を組み合わせたものです。FMCは、まとまった工程を自動化するものです。

FMS

FMS(Flexible Manufacturing System)は、工程全体をコンピューターで管理する生産システムです。FMSは、複数のFMCや自動搬送装置から構成された工程を管理します。FMSにより、1つの生産ラインでさまざまな製品を生産できるため、多品種少量生産に対応することができます。

FA

FA(Factory Automation)は、工場全体を管理するシステムです。

CIM

CIM(Computer Integrated Manufacturing)は、生産だけでなく、受注や設計、物流など、製造業のオペレーション全体を管理するためのシステムです。

シミュレーション

コンピューターを活用した開発・設計や製造の情報システムについて見てきましたが、製品の開発や製造のスピードをさらに向上する目的で、近年さまざまなコンピューターシミュレーション技術が発達しています。これらの技術は、広義では、CAE技術に含まれますが、CAEというと一般的には構造系の解析手法として用いられることが多いため、ここでは区別しています。代表的な、シミュレーション技術について見ていきましょう。

バーチャルマニュファクチャリング

バーチャルマニュファクチャリングは、現実に近い生産システムのモデルを作り、実際に生産する前に仮想的な生産を行う、シミュレーション技術です。製品の設計・開発・製造・検査など、生産に関わる全ての工程をコンピューター内のモデルに構築し、シミュレーションを行うことで、製品の市場投入期間の短縮化や製造プロセスの最適化を行うことができます。

DMU(ディジタルモックアップ)

DMU(ディジタルモックアップ)は、設計段階で実物の施策品(モックアップ)を作らずに、3次元CADによる製品設計モデルを用いて、製品の外観や、内部構成、動作などの比較・検討を行う、シミュレーション技術です。実物の施策品を作らないことで、コスト削減や設計・開発期間の短縮を実現することができます。

モンテカルロ法

モンテカルロ法は、乱数(ランダムに変動する変数)を用いて、シミュレーションや数値計算を行う、統計的推測法の総称です。生産システムの挙動解析を行う際などに利用されています。

サプライチェーンマネジメント

サプライチェーンマネジメントは、材料から生産、販売を経て製品が顧客に渡るまでの一連のサプライチェーン(供給連鎖)の全体を最適化するための手法です。

従来は、製品メーカーや卸売、小売は、それぞれのメリットを追求するため、部分最適となっていました。例えば、製品メーカーがたくさん生産して卸売に販売すれば、製品メーカーは利益を得るかもしれませんが、卸売や小売では、在庫過多になり、売れ残りが発生して利益が減るかもしれません。このように、サプライチェーンに参加しているメンバーが部分最適を追求した場合は、サプライチェーン全体が最適化されていない状態が起こり得ます。

サプライチェーンマネジメントでは、サプライチェーン全体を最適化するために、サプライチェーンの中で需要情報や販売情報、生産情報などをリアルタイムで共有します。これにより、最適な量の製品を迅速に提供できるようになるため、在庫を削減し、リードタイムを短縮するなどの経営の効率化を図ることができます。

サプライチェーンマネジメントを実現するには、リアルタイムの情報共有や、MRPによる資材所要量の計画が必要になるため、ITの支援が重要となります。