皆さんはRaspberry Pi(ラズベリーパイ)という言葉を聞いたことはありますか?

実は近年このRaspberry Pi(ラズベリーパイ)が安価で優秀なコンピューターとして話題を集めています。

そこでこの記事では

ラズベリーパイとは
ラズベリーパイのメリット
ラズベリーパイを使うには
ラズベリーパイの使用例

を初心者でもわかるように簡単に紹介したいと思います。

最後まで読む事で、この小さなコンピューターについての基本的な知識は全て網羅出来るので、ぜひ最後までご覧下さい。

ラズベリーパイとは?

ラズパイの愛称で親しまれる、シングルボードコンピューターです。

シングルボードコンピュータとは、むき出しの1枚のプリント基板上に電子部品と最低限の入出力装置がついているだけの小型のパソコンのこと。

しかし、小さいからといって侮っては行けません。ラズベリーパイはこれ一枚で様々なパソコンの性能を網羅する事が出来ます。

具体的には、プログラミングや、カメラとの接続も行うことができる他、OSがLinuxベースなのでwebサーバーやファイルサーバーのようなサーバー用途での利用も行うことが出来ます。基盤一枚のコンピューターとしては恐ろしいほどの高性能です。

ラズベリーパイのメリット

コストパフォーマンスの高さ

ラズベリーパイは非常に安価であり、何と日本円で600円代から使用することが出来ます。最新モデル・最大メモリー搭載の物でも6000円程で手に入れることが出来ます。

この安価さに加え、クライアントPCから電子工作に幅広い利用ができる点から、教育機関のみならず工場IoT導入にも注目されるようになりました。そして、結果として2019年時点で累計出荷台数が2500万台に達しました。

リッチなインターフェース

先ほども軽く触れましたが、USBやGPOIなどの豊富なインターフェースを持ち、様々な機器を接続できます。

それに加え、HDMI端末を標準装備しており、液晶テレビやモニターに接続しやすいこともラズベリーパイが広まった大きな要因の一つであると考えます。その他にも、カメラ等もライトやモーターの出力を設定する事で様々な挙動を実現することができます。

カスタマイズの幅が豊富である

ラズベリーパイは様々なプログラミング言語によるコード入力を行うことが出来るため、カスタマイズの幅がほぼ無限大と言えます。

また、比較的に習得が容易で分かりやすいPhythonでのコード入力も可能なため、クラウドにデータを送る際も変換を行うことなくスムーズにアクセスすることが出来ます。

専用機器の充実

ラズベリーパイの周辺機器やパーツ類を提供しているメーカーもすでに多く存在しており、これらの製品も安価で入手しやすいです。

ラズベリーパイはどうやって使うの?

始めるのに必要な物

しかしラズベリーパイはシングルボードであるため、それ一枚で使用することが出来ません。その為、電子工作等をする際にその他の必要最低限の機器を紹介いたします。

・パソコン(OSダウンロード時に必要。インターネットが使える物。)
・ディスプレイ(HDMI端子があればテレビでも可)
・USBマウス
・USBボード
・HDMIケーブル
・ACアダプター
・microSDカード
・カードリーダー

セットアップ

ラズベリーパイはARMプロセッサをCPUとしていて、汎用のSDカードをストレージとしています。またラズベリーパイ用のOSとして、Raspbianという専用のOSを提供しており、それが標準のオペレーティングシステムになっています。
また、ラズベリーパイにはあらかじめOSがインストールされていないので、SDカードに別途OSをインストールし、そこからラズベリーパイを起動します。
以下、ラズベリーパイのOSをインストールする場合の標準的なケースについてご紹介します。

1. OSをmicroSDカードにコピーします

パソコンにカードリーダーをつなぎ、microSDカードを挿します。ラズベリーパイの公式サイトから「NOOBS(ラズベリーパイにOSをインストールするためのソフトウェアです。ラズベリーパイのOSも含まれている)」をダウンロードし、カードリーダーを介してmicroSDカードにコピーします。

2.microSDカードからRaspberry Piに「NOOBS」をインストールします

microSDカードをラズベリーパイのカードスロットに挿し、ディスプレイ、キーボード、マウスを各接続ケーブルでつなぎ、最後に電源ケーブルを挿して電源をONにします。NOOBSの初期画面が出るので、手順に沿ってラズベリーパイのOSをインストールしましょう。

3.Raspberry Pi OSを立ち上げ、設定画面から各種の設定を行います

無線LANを設定し、日本語入力ソフトをLXTerminalの画面からコマンドを入力してインストールします。続いてパスワード、地域と言語、時刻などを設定しましょう。

続いてラズベリーパイを実際に用いた際の使用例を紹介します。

ラズベリーパイの使用例

「ラズベリーパイ×センサー」

ラズベリーパイは、センサー技術と掛け合わせることで、工場内の設備の稼働状況をセンサーで感知し、稼働状況の可視化やデータの蓄積に用いる事ができます

例えば、気温・湿度・気圧のデータを定期的に通知してくれる仕組みを開発したり、RFIDとラズパイを組み合わせる事で、製品の追跡を実現するシステムも構築する事が可能です。

また、複数の機械を同時管理することもできる上、自由にカスタマイズをする事ができる為、市販の製品では対応できないオリジナルのセンサーシステムの設計もできるかもしれません。

「ラズベリーパイ×カメラ」

ラズベリーパイの活用事例はセンサーのみには留まりません。ラズベリーパイは、専用カメラやUSBカメラをラズベリーパイと接続することで画像認識システムの構築や、監視カメラシステムを構築したりすることが可能です。

例えば、AIと掛け合わせることでリアルタイムでの画像処理を行う事もできます。加えて、ラズベリーパイ単体で相当な画像処理の速度が出るので、そのハイスペックさに驚かされます。

工場IoTとしては、物体検出等でも使用する事ができる為、マスクの装着状況を検知するシステムや防犯システムなど、ラズベリーパイ×カメラの可能性は無限大と言えます。

「ラズベリーパイ×OCR(光学文字認識)」

ラズベリーパイは実はOCRとしても活用する事ができます。OCRは、画像から文字を読み取りテキスト化するので、手書きで作成した生産日報等をラズベリーパイで読み取り電子化することができます。

特に生産日報は、これまで手書き・タブレット端末の入力での記録することが一般的であり、どちらにしても手間がかかってしまう他、人がする作業なのでミスも付き物でした。

しかし、OCRを用いることによって「時間効率の上昇」、「ミスの減少」という二つの観点から生産性を上げる事ができます。また、OCRをAIと組み合わせる事により、仮に誤認識をしてしまったとしてもAIが機械学習する事で、認識率を向上させる事が可能です。

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【番外編】ラズベリーパイの使い方

「ラズベリーパイ×温度自動調節機能付きスマート窯」

このラズベリーパイの活用方法は、陶芸用の窯に温度計を取り付け、プロパンガスのバルブを電子制御できるようにラズベリーパイを活用しています。

機能としては、計測した温度に基づいて燃料のプロパンガスの供給流量を調整し、自動的に最適な温度に設定できるという仕様になっています。また、WiFiに接続することで、その場にいなくても温度の管理や確認をすることができます。

温度が作品の善し悪しの大部分を決める陶芸では、温度調整に失敗すると、焼き上がりにムラが生じたり、割れてしまったりするのでこの使い方はラズベリーパイを有効活用してると言えますね。
ちなみに、かかった費用は$200(20,000円)程度だそうです。開発者のサイトはこちら

「ラズベリーパイ×DIYスマートホーム」

ラズベリーパイはDIYにも応用できます。
例えば、Siriと連携する事で音声一つでドアやライトの操作をする事ができるようにも改造する事ができます。

他にもプログラムすれば室温の調整、テレビのチャンネルの切り替えなど様々な例が紹介されています。ここまで来るとまるで魔法みたいですが、そのような事でさえ、ラズベリーパイは行う事ができます。

実はこの技術はSiriProxyという技術で、iPhoneのSiriに対して、独自の命令とその動作を追加・設定しています。他にもいろいろな応用ができそうですね。

参考記事| https://techblog.nhn-techorus.com/archives/725

「ラズベリーパイ×slack」

この事例はslackというチャットツールから、植物の水やりを世界中のどこからでも出来るというもの。「wpi water」と投稿すると、水が与えられるという仕組みで、インターネットを経由しているので、世界中のどこからでも水やりを行えるシステムです。

slackは現在かなりポピュラーになっている社内用チャットツールですが、これとラズベリーパイを応用する事でこのような使い方ができる事も、応用次第で様々な事に応用できそうですね。

参考動画: https://vimeo.com/102211439

まとめ

如何でしたか?本記事ではラズベリーパイのセットアップ方法やメリット、活用事例についてまとめていきました。

ラズベリーパイは

コストパフォーマンスの高さ
リッチなインターフェース
カスタマイズの幅が豊富
専用機器の充実

というメリットを兼ね備えており、初心者でもツボを押さえる事で、様々な事に応用する事ができるとがわかって頂けたと思います。

是非、本記事を参考に産業用にとどまらず、用途を広げて活用していく事で、その可能性を広げていってください。