スマート工場とは?

スマート工場とは、工場内外をコンピュータネットワーク(インターネット)で連携し、ムダのない生産を行う工場のことです。ムダを無くすにはどうすればよいでしょうか?

ムダを徹底的に排除した生産方式として、トヨタ生産方式が有名です。トヨタ生産方式が誕生した当時に、インターネットはあったでしょうか?当然ですが、インターネットはありませんでした。

インターネットがない時代

インターネットがない時代は、工場のムダを人が観察・記録・分析・改善をして、ムダを排除していました。
特に観察については、”人力による定点観測”が行われていました。

”人力による定点観測”は、具体的には工場のある特定の場所に立ち続けて、工場で起きていることをこと細かく観察したり、作業時間を記録したりする行為のことです。
昔は、”人力の定点観測”によってムダを発見するところから、改善が始まります。

”人力による定点観測”が万能なのは、ムダの対象が、機械だろうが、作業だろうが、物流だろうが、何にでもすぐに適用できるところです。

インターネット普及によって生まれたインダストリー4.0

しかし近年、ドイツが提唱するインダストリー4.0ではインターネットと連携することで、スマート工場を実現しようとしています。インターネットと連携することで、ビックデータを獲得しAIで分析して、より付加価値の高い工場を目指そうとしています。

製造業でIoTが必要な理由

インターネットと連携するということは、どのようなことでしょうか?

インターネットの技術は、1970年代にアメリカで開発されました。その後、コンピュータの発展と共に、低コストかつ高性能なネットワークとして普及しました。

現在、製造業で使用している産業用ロボットや生産設備についても、標準でインターネットに接続できる機器が増えています。
あらゆる機器をインターネットに接続して、情報収集やフィードバックを行うのが、IoT(Internet of Things)です。

製造業では、市場のニーズが多様化し、生産工程がより複雑化しております。また自動化も進み、”人力による定点観測”では、観察できないことも増えてきました。

例えば、産業用ロボットを導入して、工程を自動化したとします。
普段は問題なく稼働していますが、ある日突然、異常で停止しました。
ユーザーは、異常の原因がわかりません。
その間生産が停止し、長時間化すれば、大きなムダが発生します。

そこで、ロボットをインターネットに接続して、ロボットメーカーが常時監視することができたらどうなるでしょうか?
異常が発生した時点で、ロボットメーカーはインターネットを使って、リアルタイムで調査することができます。

ユーザーは、メーカーから的確な復旧方法の連絡を受け、停止時間を最小限にすることができます。IoTを導入することで、これまで当然のようにあきらめていたムダを、排除することができます。

IoT導入のポイント

工場のあらゆる機器を、インターネットに接続するだけでは、IoTのメリットは得られません。

インターネットに接続しただけでは、情報のやり取りはできないからです。インターネットで、情報をやり取りするしくみが必要となります。インダストリー4.0でも、IoTのメリットをどのように引き出すかが、成功の鍵となります。

IoTという言葉が聞かれるようになった当時、日本の技術者が、IoTの事例としてドイツの工場を視察しました。

技術者たちは、”この程度のことなら、既に日本の工場でもやっている”という人が多かったようです。ドイツのIoT戦略は、インターネットに接続するしくみを、国主導で標準化することにありました。
しくみを標準化するということは、しくみを採用したドイツメーカーの機器であれば、インターネットに接続すれば、直ちに情報のやり取りができるということです。

さらにドイツの狙いは、標準化されたしくみが国際的に普及すれば国際規格となり、ドイツメーカーの国際競争力が強まることも視野に入れております。日本のIoTが、欧米と比較して立ち遅れていると言われる理由は、しくみの標準化を各メーカーが行っているため、

IoTを導入する時間とコストが掛かっていることにあります。もう1つ、国がIoTをけん引しているのが中国です。中国版インダストリー4.0として、”中国製造2015”を発表しております。

中国のIT化は世界でもトップクラスであり、IoTの先進国と言えます。
中国で普及している事例を導入する方法もありますが、中国製IT機器とインターネットで接続することについては、慎重に行う必要があります。

いずれにしてもIoTを導入するポイントとしては、情報をやり取りのしくみがどれだけ標準化されているかが、重要となります。

それでもスマート工場になる中小企業

中小企業は、IoTの導入など無理なので、スマート工場にはなれないと、考える必要はありません。

情報をやり取りのしくみが標準化されていなければ、既にしくみが、標準化されているIT機器を活用すればよいのです。代表的なものとして、Webカメラがあります。Webカメラについては、低機能なものでは数千円程度で、高機能なものでも、2~3万円で購入できます。そして、低機能なものでも高機能なものでもインターネットに接続して、情報をやり取りするしくみは同じです。

工場内にインフラとして、ネットワークを構築し、複数台のWebカメラを接続して、人とものの流れを観察・記録することで、ムダを見つけて改善することも、スマート工場になる第一歩の取り組みと言えます。
インダストリー4.0時代の、”人力の定点観測”になるのです。

まとめ

製品開発では試作を繰り返し、ある程度の失敗を重ねながら、完成度を高めています。生産性向上についても試行を繰り返し、ある程度の失敗を許容しなければ、成果は得られません。スマート工場の定義は明確です。しかし、スマート工場の具体的な事例は、これからたくさん創造されます。

まずは、安価なIT機器を使った試行から始めることが重要です。アイデア次第で安価に構築できるIoTは必ずあります。

そして様々な試行をすることで、自社に必要な情報が見えてきます。試行錯誤を繰り返しながらステップアップすればよいのです。しかし、最初の一歩を踏み出すのには、とても勇気が必要です。

ITに詳しい技術者が社内にいればよいのですが、日本ではIT人材が不足しています。それでもスマート工場を目指すのであれば、専門知識のあるコンサルタントや身近な商工団体に相談することが、得策かもしれません。

(画像は写真ACより)