紙・FAXや属人的な調達業務を効率化 多品種少量・個別受注型の製造業を対象に展開

岡野バルブ製造は2026年10月16日、グループ企業のオルターブースと共同開発した製造業向け調達支援システム「IoM調達」の正式提供を開始した。

見積もりから発注、納品、検収、納期管理、取引先管理、調達分析までを一元管理し、過去の対応履歴や企業ごとの判断基準をもとにAIが調達ルートを提案する。最終判断は担当者が行う「半自動化」によって、調達業務の効率化と属人化の解消を目指す。

2026年6月にα版の提供を始め、約4カ月間でヒアリングした約100社とモニター企業の声を反映して機能を改良した。正式提供に合わせ、製造現場の意見を今後の機能改善に生かす「先行導入パートナー」を20社募集する。

製造業向け調達支援システム「IoM調達」
(画像提供:岡野バルブ製造株式会社)

見積もりから納品までを一元管理

「IoM調達」は、多品種少量・個別受注型のものづくり企業を主な対象としたクラウド型の調達支援システムだ。

見積もり、発注、納品、検収といった受発注業務に加え、納期管理や取引先管理、調達分析まで一つのシステムで管理する。ブラウザ上で利用でき、専用ソフトのインストールは必要ない。

従来、メールやExcel、紙、FAX、基幹システムなどに分散していた情報を集約し、案件ごとの進捗を見える化することで、対応漏れや入力ミスなどの抑制につなげる。

岡野バルブ製造のサービスサイトでは、サプライヤー選定や見積もり判断などが担当者個人の経験や知識に依存しやすく、異動や退職によってノウハウが引き継がれにくいことも製造業の調達部門が抱える課題として挙げている。

過去の履歴をAIで学習、調達ルートを提案

特徴の一つが、各社に蓄積された調達履歴を活用したAIによる支援だ。

見積もりや発注、検収、納品などの過去の対応状況をもとに、AIが適切な調達ルートを提案。サイズや仕様が異なる類似案件だけでなく、新規案件についても、過去の履歴や各社独自の判断基準を踏まえて対応策を提示する。

担当者は提案された内容を確認し、最終的な判断を行う。人の判断そのものを完全に自動化するのではなく、日常的な調達処理をAIで支援し、担当者がより重要な判断や新規取引先の開拓などに時間を使える環境を目指す。

α版からは通知機能やUI/UXも改良した。対応が必要な情報を画面上で確認しやすくしたほか、利用者ごとの権限設定や管理機能、コメント機能などを追加し、社内での情報共有にも対応する。

「IoM調達」では見積もり、発注、納期管理などの調達業務を一元化する
(画像提供:岡野バルブ製造株式会社)

「調達が難しくなった」68.2% 自社の課題をサービス化

岡野バルブ製造が調達支援システムを開発した背景には、自社を含む製造現場で感じてきた調達業務の負担がある。

同社は2016年から加工受託の受発注マッチングサービスを運営してきた。その利用企業を対象にした調査では、68.2%が「調達の難易度が年々高まっている」と回答したという。

原材料価格の上昇やサプライヤーの休廃業などで調達環境が変化する一方、受発注やサプライヤー管理では紙やFAXなどを使った業務が残り、担当者の経験や人脈に依存するケースも少なくない。

日々の見積もりや発注処理に時間を取られることで、代替調達先の確保や新規サプライヤーの開拓といった中長期的な業務に手が回りにくい。IoM調達は、こうした自社の製造現場で経験した課題を起点に開発したとしている。

サプライチェーンの不確実性高まる中、調達DXの重要性も

製造業では近年、調達を単純な発注業務としてではなく、事業継続や競争力に関わる機能として捉える重要性が高まっている。

経済産業省が2026年5月に公表した「2026年版ものづくり白書」では、国際経済を巡る不確実性の高まりやAIなどデジタル技術の急速な発展が、製造業を取り巻く環境を大きく変化させていると指摘している。製造業の競争力強化に向け、経済安全保障への対応やAI・デジタル技術の活用が重要な課題として位置付けられている。

また、経済産業省はサプライチェーンの統合的な管理には、上流・下流の企業と連携しながらデータを活用することが重要との考えを示している。調達や供給に関する情報を把握し、データに基づいて判断できる体制づくりは、サプライチェーンの安定性や生産性向上にも関わる。

こうした中、調達履歴やサプライヤー情報を個人ではなく組織のデータとして蓄積し、AIによる判断支援につなげる仕組みは、製造現場のDXの一つとして注目されそうだ。

「工場のDX」から調達・サプライヤー管理へ

製造業のDXというと、工作機械の自動化やIoTによる設備監視、ロボット導入など、工場内の取り組みに焦点が当たりやすい。

一方、製品を生産するためには、原材料や部品を必要な時期、価格、品質で確保する調達業務が欠かせない。調達先の選定や見積もり比較、納期確認、履歴管理などが属人化すれば、担当者の退職や異動によって業務継続が難しくなるリスクもある。

経済産業省のものづくり白書でも、個社のデジタル化だけでなく企業間のデータ連携が、産業全体の事業効率やサプライチェーン強靱化に重要との方向性が示されている。

IoM調達は、製造工程そのものではなく、その前段階にある「直接材の調達」に焦点を当て、見積もりから納品までの業務をデータ化・標準化する点が特徴となる。

岡野バルブ製造とオルターブースが共同開発

IoM調達は、岡野バルブ製造とオルターブースが共同で開発した。

岡野バルブ製造は1926年創業。発電用高温高圧バルブを、素材開発から機械加工、溶接、組み立て、検査、メンテナンスまで一貫して手掛けてきた。

同社は2026年11月に創業100周年を迎えるにあたり、「社会インフラを守る」「地域創生と人材育成を担う」「未来の産業基盤をつくる」の3分野を事業の柱として掲げており、IoM調達を「未来の産業基盤をつくる」取り組みの第1弾と位置付けている。

開発を担当したオルターブースは、Microsoft Azureを中心にクラウドやシステム開発、DX支援を手掛ける企業。2026年3月に岡野バルブ製造のグループ企業となった。製造現場の知見とクラウド・デジタル技術を組み合わせ、製造業向けのサービスとして開発した。

先行導入パートナー20社を募集

正式提供に合わせ、岡野バルブ製造は「IoM調達」の先行導入パートナーを20社募集する。

対象は、主に多品種少量・個別受注型の生産を行い、国内調達を中心とする製造業の調達部門。導入企業には、導入初期の特別価格や専任チームによる伴走支援、機能要望の優先反映などを提供する。

また、導入後の効果や課題を検証し、実際の製造現場から得られた意見を今後の機能改善に反映する。参加企業には、導入効果のヒアリングや導入事例としての取材・記事化への協力を求める。

先行導入パートナー募集概要

対象国内製造業の調達部門。主に多品種少量・個別受注型で、国内調達を中心とする企業
募集社数20社
特典導入初期の特別価格、専任チームによる伴走支援、機能要望の優先反映、共同での事例発信・登壇機会
協力事項導入効果のヒアリング、導入事例としての取材・記事化
申し込み方法サービスサイトの問い合わせフォームから「先行導入パートナーの件について」と記入して申し込み

「IoM調達」サービス概要

サービス名IoM調達(アイオーエムちょうたつ)
提供開始2026年10月16日
対象製造業の調達部門。主に多品種少量・個別受注型のものづくり企業
主な機能見積、発注、納品、検収、納期管理、取引先管理、調達分析など
提供形態クラウド(SaaS)
利用方法Webブラウザ
開発岡野バルブ製造株式会社、株式会社オルターブース
料金サービスサイトで案内

岡野バルブ製造株式会社

1926年創業、日本初の国産、発電プラント用国産高温高圧バルブの製造・メンテナンス等、インフラ事業を基盤にDX・ロボティクス・地域創生へ展開。100年先を見据え、財務価値だけでなく意味価値も追求するポスト資本主義経営に取り組んでいます。

業種製造業
本社所在地福岡県北九州市門司区中町1-14
電話番号093-330-3004
代表者名岡野 武治
上場東証スタンダード
資本金12億8625万円
設立1936年02月
URLhttps://okano-valve.co.jp/

*株式会社オルターブース

2015年設立。福岡市に本社を置く。岡野バルブ製造株式会社クラウドをのグループ企業として、クラウドを活用したシステムの企画・開発・運営を手掛け、Microsoft Azureなどを活用した企業のクラウド化やDXを支援。

関連情報・出典

岡野バルブ製造株式会社 「岡野バルブ製造×オルターブース、製造業向け調達支援システム『IoM調達』を正式ローンチ」 2026年10月16日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000076027.html

岡野バルブ製造株式会社 「IoM調達」 https://iom.okano-valve.co.jp/

IoM調達 「先行導入パートナー」申し込み・問い合わせ https://lp.iom-chotatsu.com/

岡野バルブ製造株式会社 会社概要 https://okano-valve.co.jp/aboutus/outline/

株式会社オルターブース 会社概要 https://www.alterbooth.com/company/overview/

経済産業省 「2026年版ものづくり白書」 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2026/index.html

経済産業省 「『令和7年度ものづくり基盤技術の振興施策』(2026年版ものづくり白書)を取りまとめました」 https://www.meti.go.jp/press/2026/05/20260529001/20260529001.html

経済産業省 「2025年版ものづくり白書」 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html