高圧ガス保安法への対応と国内保守体制を整備 JIMTOF 2026で初展示

リックス株式会社は、米FUSION COOLANT SYSTEMSが開発・製造する切削加工向け超臨界CO₂発生装置「Pure-Cut(ピュアカット)」の国内OEM生産を開始した。

Pure-Cutは、超臨界CO₂と極少量の潤滑油を組み合わせて切削点を冷却するシステム。切削時に発生する熱を抑えることで、チタン合金やインコネルなどの難削材における加工速度の向上や工具寿命の延長を支援する。

国内OEM化により、日本の高圧ガス保安法に対応した製造・導入体制に加え、国内での保守体制も整備する。10月26日から31日まで東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF 2026(第33回 日本国際工作機械見本市)」で初展示する。

国内OEM生産を開始した超臨界CO₂発生装置「Pure-Cut」
(画像提供:リックス株式会社)

超臨界CO₂と微量潤滑で切削熱を抑制

切削加工では、材料を削る際に発生する熱が工具摩耗や加工品質に影響する。特にチタン合金やニッケル系耐熱合金などの難削材では、切削熱や摩擦によって加工条件を上げにくく、工具寿命の短縮や加工時間の増加につながることがある。

Pure-Cutは、液体CO₂を加圧・温度調整して超臨界状態にし、極少量の潤滑剤とともに加工点へ供給する。

リックスによると、加工点ではマイナス78.5℃のドライアイス粒子による冷却作用が得られ、加工時に発生する熱を抑制する。冷却と微量潤滑を組み合わせることで、高速切削や工具寿命の延長、加工品質の安定化を図る。

用途や要求品質によっては、潤滑油を使用しないオイルレスドライ加工仕様も選択できる。

チタンやインコネルなど幅広い難削材を対象に

主な対象業界は、航空宇宙、医療、自動車部品、工作機械など。

加工対象として、Ti-6Al-4V(Ti-64)やTi-5553などのチタン合金をはじめ、インコネル、高ニッケル合金、バナジウム鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、カーボン系素材、焼き入れ後の高硬度金属などを想定している。

航空機分野では、難削材への対応力が生産能力にも関わる。

経済産業省が航空機産業の課題を整理した資料では、次期航空機でチタンやインコネルなどの難削材の使用率向上が見込まれる一方、高レート生産に対応するための部品加工能力の強化が課題として挙げられている。

難削材をより速く、工具交換を抑えながら加工できる技術は、こうした部品加工能力の向上にも関係する。

公開事例では切削速度や工具寿命の改善も

リックスはPure-Cutを使用した加工実績も公開している。

国内大手メーカーでTi-6Al-4Vなどを加工した事例では、従来加工と比較して切削速度が3~5倍、工具寿命が数倍に伸びたとしている。

また、同社が公開する過去の加工事例では、材料や加工方法によって次の結果が示されている。

対象材料加工評価内容公開された改善結果
バナジウム鋼穴あけ工具切削長約6.9倍
ステンレス鋼穴あけ工具切削長4倍
Ti-6Al-4Vミーリング工具寿命指標約4倍
インコネル625旋盤完成部品数4倍

これらはリックスが公開している個別の加工実績であり、実際の改善幅は材料、工具、加工方法、加工条件、工作機械の仕様によって異なる。

国内OEM化で法規対応と保守体制を整備

Pure-Cutは米国ミシガン州に本社を置くFUSION COOLANT SYSTEMSが開発した。

リックスによると、欧米では導入実績がある一方、日本で導入を広げるには高圧ガス保安法への対応や、故障・メンテナンス時に迅速に対応できる国内保守体制の構築が必要だった。

今回、FUSION社とのOEM契約により国内生産を開始。国内の法規に対応したモデルとして製造するとともに、装置の導入から据え付け、保守、CO₂ガス供給までを支援する体制を整えた。

既存の工作機械への後付けにも対応し、専用機への全面更新を行わずに導入を検討できる。工作機械メーカーへのOEM組み込みにも対応する。

クーラント管理や設備停止時間の削減も対象に

Pure-Cutが対象とするのは、加工速度だけではない。

一般的な水溶性クーラントを使用する加工現場では、クーラントの補充や濃度管理、廃液処理、設備メンテナンス、洗浄などの管理作業が発生する。

Pure-Cutでは超臨界CO₂と極少量の潤滑剤を使用することで、こうしたクーラント管理業務の見直しも可能としている。

工具寿命が延びれば、工具そのものの使用量だけでなく、工具交換による設備停止時間の削減にもつながる。このため同社では、単純な切削速度だけでなく、設備稼働や保全作業を含めた工程全体で導入効果を評価することを提案している。

また、既存の大量の切削油への依存を減らすことで、オイルミストなどへの作業者の接触機会を抑える効果も期待するとしている。

超臨界CO₂と極少量の潤滑剤を加工点へ供給し、切削熱を抑制する
(画像提供:リックス株式会社)

JIMTOF 2026で国内OEMモデルを初展示

リックスは、10月26日から31日まで東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF 2026」でPure-Cutを展示する。

JIMTOFは、日本工作機械工業会と東京ビッグサイトが主催する工作機械の国際見本市。工作機械をはじめ、切削工具、測定機器、制御装置、CAD・CAM、工作機械関連の環境対応機器などが出展される。

リックスは東3ホールのブース「E3024」で、国内OEM生産を開始したPure-Cutを紹介する。

JIMTOF 2026での展示情報

  • 会期:2026年10月26日(月)~31日(土)
  • 会場:東京ビッグサイト
  • リックスブース:東3ホール E3024
  • 開場時間:10:00~17:00(最終日は16:00まで)
「Pure-Cut」は高速切削や工具寿命の延長、クーラント管理負担の軽減などを想定する
(画像提供:リックス株式会社)

「Pure-Cut」製品概要

製品名Pure-Cut(ピュアカット)
製品分類切削加工向け超臨界CO₂発生装置
主な用途切削加工時の冷却・潤滑
主な対象業界航空宇宙、医療、自動車部品、工作機械など
主な対象材料チタン合金、インコネル、高Ni合金、ステンレス鋼、バナジウム鋼、鋳鉄、カーボン系素材など
導入方法既存工作機械への後付け、工作機械へのOEM組み込み
国内製造・導入支援リックス株式会社
開発元FUSION COOLANT SYSTEMS

リックスについて

国内外の産業界に機器や部品などを製造・販売するメーカー商社です。1907年の創業時には足袋の卸売りを担い、官営八幡製鉄所(現・日本製鉄)との取引を皮切りに、多様な機器・部品を扱う商社機能を磨いていきました。その後、自社内にメーカー機能を立ち上げ、自社技術を研鑽するための研究開発機能も持ち合わせています。販売・技術・製造・サービスを高度に融合させ、幅広い業界の課題解決に努めています。

業種商業(卸売業、小売業)
本社所在地福岡県福岡市博多区東比恵1丁目4番10号 S-GATE FIT 東比恵 5階
電話番号092-472-7311
代表者名安井 卓
上場東証プライム
資本金8億2790万円
設立1964年05月
URLhttps://www.rix.co.jp/

関連情報・出典

リックス株式会社 「【切削加工の常識を覆す次世代技術】超臨界CO2発生装置『Pure-Cut』の国内OEM生産を開始」 2026年10月16日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000075072.html

リックス株式会社 「超臨界CO₂発生装置『Pure-Cut』の国内OEM生産を開始しました。」 https://www.rix.co.jp/company/info/detail/001573.html

リックス株式会社 「切削加工向け 超臨界CO₂発生装置 Pure-Cut」 https://www.rix.co.jp/products_services/products/category/scco2_supply_system/pure-cut/

リックス株式会社 「概要/沿革」 https://www.rix.co.jp/company/outline/

経済産業省 「機体構造体/エンジン分野における課題と対応策」 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kokuki_uchu/pdf/2025_001_06_00.pdf

JIMTOF 2026 「第33回 日本国際工作機械見本市 開催概要」 https://www.jimtof.org/jp/outline.html