矢野経済研究所「ERP市場動向に関する調査」を実施
矢野経済研究所は9月7日、2020年における「ERP市場動向に関する調査」の結果を発表しました。
経営資源の効率化と経営判断のスピードアップを実現する統合基幹業務システム「ERPパッケージ」は、社内データの一元化に欠かせない仕組みとして注目されています。
DXの後押しで成長が加速
調査によると2019年のERPパッケージ市場は、エンドユーザ渡し価格ベースで前年比7.0%増の1198億3000万円。2018年の4.4%増を上回る伸び率となりました。
市場拡大の要因として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が後押ししていると考えられます。
矢野経済研究所は、
「レガシーな情報システムを刷新する」、「ビジネスの変革やデジタル化の推進に伴い経営基盤を見直す」という双方の意味で、ERPのリプレイスが進んだ
(プレスリリースより)
と分析しています。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症による影響が懸念されますが、2020年上期(1~6月)においてはベンダー事業への影響は軽微に留まっています。
2020年通年でみても、好調だった前年に受注が決まった案件への対応もあるため、ERPパッケージ市場は1241億6000万円、前年比3.6%増のプラス成長を維持すると予測されます。
しかしながら新型コロナウイルス感染症の収束見通しが不透明であるため、2021年には前年比でマイナスに転じる見通しです。
とはいえ2019年までの市場を牽引してきた基幹システムの見直し需要は底堅く、IT投資へのニーズに衰えはみえません。さらにウィズコロナ時代のニューノーマルに対応するためにDXを推進し、それに伴うERPのリプレイスも今後ますます増加すると予想されます。
このため、リーマン・ショック後のような大幅な落ち込みには至らず、2021年のERPパッケージ市場は、エンドユーザ渡し価格ベースで前年比2.7%減の1208億円に留まる見通しです。
2021年にはクラウドがオンプレミスを上回ると予測
ERPパッケージ市場で注目されるのが、クラウドの普及です。
2019年のクラウド利用率(IaaS/PaaS利用とSaaS利用の合計)は38.3%まで拡大しました。新型コロナウイルス感染症の影響で非対面が推奨されることから、クラウド化の流れはさらに加速するでしょう。
これによってクラウド型のERPパッケージの需要はさらに高まり、2021年にはクラウドの利用率がオンプレミスを上回って、クラウド利用率が63.5%になる見通しです。
また今後のERPパッケージの利活用においては、ユーザ企業の経理や人事担当者がテレワークをしながら利用できること、ベンダーがメンテナンスや不具合対応をリモートで行えることなどがより一層重視されるでしょう。
電子部品・自動車部品向けのERPパッケージもさまざまな商品が登場していますが、ウィズコロナ時代のニューノーマルに対応するためのシステムが今後も続々と登場すると予測されます。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
株式会社矢野経済研究所のプレスリリース
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2508