※本記事は、2023年8月に取材したものを一部改編したものです。

埼玉県川口市にある内田精研有限会社では、2023年3月より、社内DX人材の育成に取り組んでいます。DX人材を確保するためには、外部調達と社内育成の2つに大別されますが、同社では社内で人材を育成しています。今回は同社の内田社長に、DXに取り組み始めたきっかけや取り組みを始めて半年が経過した現在の状況をお伺いしました。

会社概要

内田精研有限会社

コーポレートサイトhttps://uchida-seiken.com/
代表者代表取締役  内田 行彦
設立1982年4月
資本金500万円
本社〒334-0013 埼玉県川口市南鳩ケ谷7-17-24
事業内容精密研削加工業(平面・円筒・内面・NC成形・研削加工)
認証ISO14001認証取得(2008年5月)
彩の国工場認定(2008年11月)
川口市技能振興推進モデル事業所認定(2012年11月)
川口i-wazaブランド技術認定(2015年12月)
ISO14001、ISO9001(2015年版)認証取得

代表取締役 内田 行彦 / Yukihiko Uchida

1967年 埼玉県川口市生まれ
1990年 大学卒業後、工作機械メーカーに就職
1993年 内田精研有限会社 入社
2010年 代表取締役就任

「拠点間の心理的距離をなくす」という課題解決のために、DXに取り組み始めた

ーー貴社がDXに取り組もうと思ったきっかけや背景を教えてください。

DXに取り組もうと考えたきっかけは、埼玉県産業振興公社(※編集注 詳細はこちら)の方から「DXに関する講演を聞いてみてはどうか」という話をもらったことです。
当時、当社の工場が2拠点体制になり、コミュニケーションや情報共有を改善しなければいけないという課題を感じているタイミングでした。私としては、「2拠点でも心理的距離はなく、2つの部署である」という認識でしたが、社員から「心理的距離を感じる」という声があり、距離感をいかにして無くすかを考え始めたことがDXに本格的に取り組む大きな動機でした。

取り組みを始めた現在もDXをよく理解していないかもしれないと思っていますが、DXのような、新しいものが動き出す時にはわからないなりに早く動きだした方がいいと考えています。そのため若い人材を確保できるようになり(※)、2拠点化による課題に直面していたタイミングで、組織の体制が固まってしまう前に他社よりも早く先に始めようと考え取り組みを開始しました。

※編集注:同社は2021年6月より採用活動にも尽力し、若手人材の採用を強化しています。
 同社の採用サイトはこちら:https://uchida-seiken-recruit.com/

社長直下で、若手が挑戦しやすい体制を整備

ーー実際にDXに取り組み始めるにあたり、どのような推進体制をとっているのでしょうか。

DXプロジェクトは下記の図ような体制のもとで取り組んでいます。私が全体を調整しながら指揮をとることからスタートし、順次各部門や事務に取り組みを拡大していきました。各部門の担当者に取り組みが浸透したタイミングで、担当者がアプリ開発などに取り組み始めました。

体制図 ©︎2023 FactoryNews

部門でのアプリ開発はMicrosoft製品を用いたローコード開発で行っており、外部の支援会社(株式会社ジャパン・エンダストリアル・当社)にお願いし研修を受けながら取り組んでいます。実際に現場で研修を受講するのは、主に2022〜23年入社の若い社員です。その中でも、「できる(できそうな)人をできるところに」配置することを意識して決めました。若い社員であっても適正を見極めたうえで配置しています。

DXの方法はできることから取り組み、目的に合わせて変化させた

ーーMicrosoft365を活用したDXに取り組まれているそうですが、なぜMicrosoft365を選んだのでしょうか?

取り組み当初は、費用がかからないGoogle Work Spaceを利用していました。Google SpreadsheetやGoogle formの利用から始め、社内の情報をクラウド上で共有し、2拠点間で利用することから取り組みました。
取り組む過程で支援会社と出会い、GoogleサービスからMicrosoft製品への切り替えを決断しました。私としては「Microsoftの方が難しい」という印象があったのですが、今後セキュリティを強化していく必要があることや、顧客もMicrosoftで運用していること多いため、早い段階でMicrosoft製品に移行し、慣れていこうと考えました。

現在の取り組み状況・反響(開始から5ヵ月間の実績)

ーーMicrosoft365をの利用を始めてから約半年(取材時点)が経過しましたが、取り組みの状況や成果としてはいかがでしょうか?

Microsoft製品の利用開始から半年間で、Power Platformを活用したアプリ開発が5件、また作成したアプリのうち2件については現在も活用されているなど、早いペースで浸透が進んでいると感じています。
現在はプロジェクト全体の初期段階のため、まずはなんでも「やってみることが大事」だと考えています。そのため、取り組みに参画している社員には、普段やっていることをアプリ化してみるなど、めんどくさがらずに簡単なことをやってみることで馴染んでもらうことを目指して取り組んでいます。

今後の展望

ーー現在もプロジェクトは進行途中だと思いますが、今後の目標や展望について教えてください。

様々な情報、特に納期や売り上げなどの数字を見える化することを目指しています。現在も、朝礼で売上や経費を全体で共有していますが、社員1人1人が納期全体を俯瞰し、効率的な生産や納期短縮・生産性の改善に繋げられようにしていきたいと考えています。

また、この取り組みを通して「考えて改善するマインドの習慣化」にも期待しています。デジタル活用だけでなく、DXを超えて企画や改善案なども考えることができるよう、マインド面の改善もこの取り組みの中で実現していきたいです。

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